泣く子と冬将軍

時々、仕事で長野市と盛岡市を往復する。長野市は標高362メートルくらいにある地方都市だ。標高126メートルの盛岡から出発。大宮で東北新幹線から北陸新幹線に乗り換えていく。気温は盛岡の気温とほぼ同じくらいである。日本列島の北日本に位置する盛岡市と北陸の長野市とは標高の違いがあるのか、さほど気候がかわらない。今年の冬は盛岡市にも雪が多かったが、長野市内も同様だった。冬タイヤの出番がようやく来た、という気持ちで車を運転していた。1月、2月の夕方7時ころに車のエンジンをかける。窓ガラスが凍っていて、エンジンが温まるまで、窓ガラスからがりがりと霜を落とす作業、駐車場の雪かき、空をみあげて、「もう、たくさん。降らないでくれよ」とつぶやくのも、同じだ。冬の寒さと雪の多さに辟易しながら冬将軍が通り過ぎるのをじっと待つ。泣く子と冬将軍にはかてないな。

朝の盛岡を寒さに震えながら、長野市に向かうため新幹線にのる。乗り換え駅の大宮駅では、コートが恥ずかしくなるくらいの気候だ。不公平だ。とつぶやく。新幹線を乗り換えて、長野駅につくと、ピリッとした風と寒さがむかえてくれる。これ、これ、盛岡と同じ感じ。体が引き締まるこの寒さ。吐く息がたちまち白くなる。寒いなー。でも、やっぱり体がなじんでいる。雪をはらむ湿った空気や吹く乾燥した風の痛さ。肌を突き刺す。手袋の中の手指がかじかんでくる。泣く子と冬将軍にはかてない。じっと耐える県民性がすき。

きっぱりと冬がきた。

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