漫画を読む

漫画

昔は,漫画が好きだった.今は,「MANGA」と記載されて,お洒落だ.

東京や大阪で,大規模なコミコンが開催され,入場者数も半端ない.50年前の「漫画」は,文化の底辺に位置して,リッパな職業の領域には入れてもらえなかったものだ.漫画家になりたいなどの「希望」など3者面談で言おうものなら,鼻で笑われた時代である.大した実力もなかったが,「憧れ」の職業だった.自分の思う世界観を構築できるなんて,なんと素晴らしいのだろう.そう思っていた.出版社に持ち込みを続けたが,才能がないせいか,実力がなかったのか,覚悟が足りなかったのか,浮ついた憧れだったのか,定かでないが今に至っている.

今,のこっているのは「不全感」である.なぜ,身も蓋もなくその道に飛び込まなかったのか.この年になってわかっているのは,「才能もなく,実力もない」ことは事実にしても,挑戦する「覚悟」がなかったことだ.安定した生活と親の期待を捨てられなかったこと.「失敗」が怖かったのだろう.

人生を進むには,「捨てること」も必要だと思う.かなり昔,読んだ本で「前に進むためには,捨てるものが必要,ロケットが空へ飛び立つように,重さを軽くするために燃料タンクを捨てる必要があるように」など,かっこいい文章を読んで,納得していた.

人間は,死ぬ時,何もかも手放して死ぬ(肉体的には),捨てて怖いものがあるだろうか.他人の評価など犬にでもくわせて(今時,犬も食わないが)自分の安っぽいプライドなど捨てるといいのだ.

そう思って,漫画の女性むけ月刊誌を手に取る.懐かしい.いやいやいや・・読むのが格段に遅くなった.前は(50年前かよ),10冊程度の月刊誌を1時間も掛からずに読破したものだが,今は,一冊読むのに1時間かかる.

目の動きが遅くなった,吹き出しの文字が細かくて読みにくい,内容が高度すぎる・・.

キッパリと老いがきた.

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