月間フラワーズに連載されている、吉田秋生の詩歌川百景 第3巻がついに刊行されました。
老舗温泉旅館「あずまや」で湯守見習いとして働く青年・和樹の、頼れる幼なじみ類は、冷静で優秀でお年寄りにも優しい林田家の「最強の長男」そんな彼をおとしめる投書が・・・
月間flowers
吉田秋生の大人気シリーズ「海街ダイアリー」のスピンオフであるこの作品は、山形県の温泉町・ 河鹿沢(かじかざわ)温泉に暮らす人々の暮らしを淡々と描いています。
第3巻は第9話「苦い蜜」から12話の「解けない謎」までの4話が収録されています。
私は作品の中では、何といっても温泉旅館あずまやの大女将の孫 小川妙 が魅力的だなと思います。
「当事者なのに自分だけが何も知らされなかったことに傷ついたのよ!」
「困っている白雪姫に必要なのは『小人』じゃなくて信頼できる『大人』よ」
小川 妙
穏やかな主人公の和樹もいいけれど、鋭くて毒のある彼女のセリフが物語を引っ張っていくように思います。そして子供たちを見守る大人たちにも、またそれぞれの歴史があり、ゆっくりと時間が流れていきます。
どこにでもあるような小さな町でも
「人の住むところには必ず悪意ともめ事がある」
毎日、毎日何もなく退屈なように見えていても、淡々と誠実に大切に生きていかなくてはいけないと思います。
きっぱりと老いが来た。(Y)
コメント