かっかどるどるどぅ

読書

2018年『おらおらでひとりいぐも』で芥川賞を受賞した若竹千佐子さんの第2作。

かっかどるどるどぅ』が河出書房新社から刊行された。

この不思議なタイトルが一体何を意味するのか興味津々で、読みはじめた。

随所に出てくる東北弁は確かに力づよく、たくましい。

そして生き抜いてきた人生をそれぞれが語る言葉は結構重いが、吹っ切れた明るさもある。

『腹をくぐって楽観すればいい』どうも東北弁は腹に力を入れるときに便利な言葉らしい。

大学院を出るも就職氷河期で非正規雇用の職を転々とする30代の理恵

生きることに不器用で自死まで思いつめる20代の保

女優の夢を捨てきれず、つましい暮らしを送る60代後半の悦子

舅姑の介護に明け暮れ気づけば自分を持たぬままに68歳になっていた芳江

古いアパートの一室では片倉吉野という不思議な女性が訪れる人に食事をふるまっていた

かっかどるどるどぅ 表紙 帯より

吉野さんのアパートでちゃぶ台を囲みながら、自分の人生を振り返り、

どう生きていくのか問い返す人たちの力強い生き方の話だ。

『人の笑顔が好き、笑顔を見て喜ぶ私が好き。時間をかけてそういうことがわかってきた。生きるってわかることだよね。自分のことが』ー吉野さん

『あの目が心のずっと奥にあるんだと思ったら、あたしの心に結構深い奥行きがあるんだって思ってさ、あたしは薄っぺらの存在じゃない。そう叫びたい気がして。』           ー心の中の、自分をみている目の存在に気付いた芳江さん。

『非正規労働者を、わざと、作っている』『人を孤立させ分断させたほうが都合がいい。手を 組んで抵抗されるのが一番怖いんでしょうから』ー理恵

『俺この頃やっとわかったんです。俺の仕事は、爺さん婆さんが最後の5年10年を最後までその人らしく生きていくのを手伝う仕事なんだなって。大丈夫ですよって、安心してって、あなたが大事ですよって伝える仕事です。』                         -介護の仕事に就いた保

『私も腹をくくった。やっぱり路上に出る。路上でひとり芝居やる』            -女優志望の悦子

本当に自分のことをわかるって時間がかかる。深く内面を掘り下げることは難しい。面白かった。

おらもかだるぞ。おめだぢもかだれ!

ええじゃないか ええじゃないか ヨイヨイヨイヨイ、ア、ソレ、ア、ソレ、

縄文人のようにかかりびの中で踊り狂う。

さて、「かっかどるどるどぅ」とは一体何だったでしょう?

きっぱりと老いが来た

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